歯が並ぶスペースを広げる床矯正について
乳歯から永久歯へ生え変わる時期は、今後の歯並びを左右する時期といっても過言ではありません。この時期に矯正治療を行うと、永久歯が生えるスペースを確保できたり、抜歯や歯列拡大の必要性を減らすことができます。しかし、子どもの成長過程の歯並びの変化には個人差があります。そのため、数ある矯正治療のなかから、どの治療方法を選択するべきか悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本コラムでは、子どもの成長期に用いられる「床矯正」について詳しく解説します。お子さんの歯並びが気になる方は、ぜひ参考にしてください。
床矯正で歯並びを整える仕組みとは?
床矯正は、乳歯から永久歯に生え変わった時に歯並びの悪化を防ぐため、矯正器具を用いて歯を外側に押し傾斜移動させる治療方法です。乳歯はおおよそ2~3歳で生えそろい、6歳から次第に永久歯へと生え変わります。床矯正はこの生え変わるタイミングで治療を行うと効果的です。
永久歯に生え変わるタイミングで、自然とまっすぐに生えていれば問題ありませんが、内側に傾斜して生えることがあります。この内側に傾斜して生えている永久歯を外側に押すことで、まっすぐ整った歯並びにするのが床矯正治療の目的です。
床矯正の手順と期待できる効果
床矯正は、歯並びやあごの状態を整えるためのステップが設けられています。初めに、初診・カウンセリングを通じて歯科医師が患者さまの歯や顎の状態を確認し、治療の方針を決めます。次に、レントゲンやCT画像を用いて口腔内の状態を把握したのち、治療計画を立て、治療が開始されます。装置を装着してからは、定期的に歯の動きを確認する必要があり、カウンセリングから床矯正の完了まで、おおよそ約1年半〜3年が目安となります。
想定していた歯並びとなった後は、リテーナーと呼ばれる保定装置を装着し、動かした歯が元に戻るのを防ぐ必要があります。徐々にリテーナーの装着頻度を下げていき、保定ができていることを確認したのち、治療終了となります。床矯正後は、噛み合わせや発音の質が向上し、顔のバランスが改善されるだけでなく、虫歯や歯周病のリスクも低減します。床矯正によって得られた効果を維持するためには、定期的な歯科検診が欠かせません。
- Q1:大人になって床矯正はできますか?
- A1:大人になっても床矯正は可能です。一般的に床矯正は骨格に対しアプローチする矯正方法となるため、多くは成長期に行われます。大人では、ワイヤー矯正やマウスピース矯正を選択するケースがほとんどです。
- Q2:床矯正でもリテーナーの装着は必要ですか?
- A2:床矯正によって広がった歯や骨は、動きやすい状態となっています。リテーナーを装着し、継続的に歯並びを安定させる必要があります。