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入れ歯を入れると痛い!原因と対処法をご紹介

入れ歯を使用している方のなかには、「入れ歯を入れると痛くて噛めない」・「食事の際に違和感を覚える」といった悩みを抱えている方も多いでしょう。入れ歯による痛みは、使用の初期段階で一時的に起こる場合もありますが、長期間続く際は何らかの原因が考えられます。

本コラムでは、入れ歯を入れると痛みが生じる原因とその対処法について詳しく解説します。痛みを解消し快適な食生活を送るために、ぜひご参考にしてください。

入れ歯を入れると痛む原因

通常、新しい入れ歯は馴染むまで2~4週間ほどかかり、ある程度の違和感を覚えるのは自然な反応です。

しかし、違和感の他に痛みを感じる場合は、何らかのトラブルが生じている可能性があり注意が必要です。

入れ歯で痛みを感じるようになった場合、以下の3つの原因が考えられます。

  • 噛み合わせの問題
  • 入れ歯の管理状態の問題
  • 顎や口腔内の問題

これらの原因について解説します。

噛み合わせの問題

時間の経過とともに、歯が抜けた部分の顎の骨は痩せ、入れ歯と隙間が生じ、噛んだときに入れ歯がずれて歯茎に過度な圧迫や摩擦がうまれます。これが痛みや不快感の原因になります。

長期間メンテナンスしていない入れ歯は特に注意が必要です。

定期的に歯科医院で噛み合わせをチェックし、入れ歯を調整することで予防が可能です。

入れ歯の管理状態の問題

入れ歯の清掃や保管といった管理状態に問題があると、以下のトラブルにつながります。

  • ・細菌の繁殖による口内炎や歯周病
  • ・変形による装着時の痛み

特に、部分入れ歯の場合、入れ歯を支えて安定させるためのクラスプ(バネ)がついています。クラスプがゆるんだり変形したりすると、周囲の歯や歯茎を圧迫して痛みが生じる可能性があります。

入れ歯は清潔な状態を保ち、変形や破損がないか定期的にチェックすることが、快適に使い続けるためのポイントです。

顎や口腔内の問題

通常、年齢とともに顎の骨量は減少し、唾液の分泌量も低下します。

顎の骨量の減少は、歯茎と入れ歯の間に隙間を生む原因となり、入れ歯装着時の安定感に影響を及ぼします。また、唾液の減少によって、入れ歯の吸着力が弱くなり、ズレや違和感が生じやすくなります。

また、部分入れ歯の場合、クラスプをかけている歯が歯周病や虫歯になると、入れ歯を支える力が弱くなり安定感が失われ、痛みが生じる可能性があります。

入れ歯を入れて痛みがあるときの対処法

入れ歯を装着して痛みが生じる場合には、放置せず適切な対処が必要です。

  • ・入れ歯のお手入れの見直し
  • ・入れ歯安定剤の使用
  • ・歯科医院に相談

それぞれの対処法について解説します。

入れ歯のお手入れ方法の見直し

入れ歯は、メンテナンスを怠ると破損や変形につながり痛みが生じる原因になります。入れ歯自体は虫歯にはなりませんが、細菌や汚れが付着するため、毎日のお手入れが欠かせません。口腔内に傷ができている場合、細菌が繁殖した入れ歯が原因で炎症が起こり、痛みにつながる可能性があります。

ただし、臭いや汚れが気になっても、熱湯や漂白剤、研磨剤入り歯みがき粉などは使用しないでください。お手入れには、必ず入れ歯専用のブラシと洗浄剤を使用します。また、入れ歯は乾燥するとひび割れのリスクがあるため、水か洗浄液につけて保管しましょう。

日々のケアを行っていると、入れ歯の不具合に気付きやすく、痛みが出る前に対処できます。

適切なお手入れ方法については、以下のコラムもお読みください。

入れ歯の適切なお手入れ方法と注意点

入れ歯安定剤の使用

入れ歯が合わずに痛みが出る場合、一時的に入れ歯安定剤を使用することで症状が緩和する可能性があります。

入れ歯安定剤は、入れ歯と歯茎を密着させるための製品です。隙間を無くして摩擦を軽減し、痛みを和らげます。また、入れ歯が安定するため、食事や会話のしやすさも向上します。

ただし、長期的な使用は推奨されません。噛み合わせの悪化や顎の骨が痩せるおそれもあるため、あくまで応急処置として使用し、早めにかかりつけの歯科医院を受診してください。

歯科医院へ相談

入れ歯を装着して痛みが生じる場合には、早めにかかりつけの歯科医院へ相談してください。痛み以外にも、フィットしない・食事中に不快感がある・話しにくい・入れ歯が外れやすいなどがある場合も相談しましょう。

入れ歯の使用期間は一般的に4~5年が目安ですが、使用状況や口腔内の変化によっては、より早い段階で調整や交換が必要になることもあります。毎日のケアに加え、歯科医院での定期的なメンテナンスが入れ歯を長く使うポイントです。

口腔内の状態によって異なりますが、歯科医院での調整頻度は、月1回程度が目安とされています。定期的な受診で不具合を早期発見し、快適な使い心地を維持しましょう。

入れ歯の寿命や交換時期については、以下のコラムも参考にしてください。

入れ歯の寿命と交換時期のサイン

入れ歯の痛みを放置するデメリットとは

入れ歯の痛みを放置すると、歯茎が傷つき炎症を起こし、咀嚼機能の低下につながります。さらに、滑舌にも影響するため、食事や会話を楽しめません。

放置すると口腔内だけでなく、顎の関節に負担がかかり顎関節症を引き起こす可能性があります。噛み合わせの悪化は頭痛や肩こりなど全身に影響を及ぼすことも少なくありません。

入れ歯の痛みは放置せず、早めに歯科医院を受診してください。

Q1:寝るときは入れ歯を外した方がいいですか?
A1:はい、寝るときは入れ歯を外すことが推奨されます。唾液が少なくなる就寝中は、雑菌が繁殖しやすい状態です。入れ歯を装着したままの場合、入れ歯が雑菌の温床になります。特に高齢者の場合、誤嚥性肺炎を引き起こす原因になるため、入れ歯は外して寝ましょう。
Q2:痛みが気になるので、食事の時以外は入れ歯を外してもいいですか?
A2:食事以外の時間も入れ歯は装着して過ごしてください。痛みが強く長時間の装着が困難な場合は、早めに歯科医院を受診してください。
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