歯科コラム

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当院における予防歯科の特徴

スウェーデン発祥の「予防歯科」という考え方は、日本でも浸透しつつあります。しかし、どのような内容かご存じない方も多いのではないでしょうか。本コラムでは予防歯科先進国・スウェーデンと日本の比較をしながら、予防歯科とは何か、なぜ大事なのかを解説しています。当院の予防歯科の特徴や処置内容も併せて解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

予防歯科とは

予防歯科とは、歯が悪くなってから治療するのではなく、あらかじめ対策して歯の悪化を防ぐ取り組みです。主な治療内容は、歯科医師や歯科衛生士による定期検査やクリーニング、セルフケア方法の指導などです。スウェーデンでは政府主導で予防歯科を推進した結果、現在では80歳以上のほとんどの方が歯を20本以上残しています。一方日本では、同じ年代で歯を20本以上残している方は4割程度にとどまっています。

予防歯科先進国スウェーデンと日本の違い

スウェーデンで予防歯科が浸透しているのは、スウェーデンの保険制度と、制度を背景に育まれた国民の意識によるものが大きいと考えられます。本章では、予防歯科におけるスウェーデンと日本の違いを、国民の意識と保険制度の2点を軸に解説いたします。

国民の意識

スウェーデンと日本では、国民が歯科医院に足を運ぶ理由が根本的に異なります。日本では、虫歯になったり、歯ぐきが腫れたりして痛みが出てから歯科医院に行く方が多い傾向にあります。一方スウェーデンでは、幼い頃から「歯の病気は予防するもの」と教えられるため、虫歯や歯周病の予防を目的とした定期検診を受けるのが一般的です。考え方や行動が異なる背景には、スウェーデンと日本の保険制度の違いも大きな影響を与えています。

保険制度

スウェーデンでは、PMTC(=Professional Mechanical Tooth Cleaning)と呼ばれるプロによる歯のクリーニングを23歳まで無料で受けられます。また、予防歯科の受診が義務づけられているため、子どもの定期検診受診率はほぼ100%です。一方、日本における予防歯科は任意であり、現時点ではフッ素塗布以外は全額自己負担です。

歯科治療の制度も異なります。日本は国民健康保険によって、虫歯や歯周病の治療が3割以下の負担で受けられます。しかし、スウェーデンでは大人の歯科治療費が安くはなく、年間3,000スウェーデン・クローナ(日本円で約42,000円)までは全額自己負担です。歯科治療が高額な国では、虫歯や歯周病に対する予防意識が高まると考えられます。さらにスウェーデンの公立歯科医院では、予防歯科によって虫歯や歯周病のリスクが低い人の治療費は安く、予防歯科を受けていない場合は治療費が上がる制度があります。制度面からも、予防歯科を強く促す仕組みになっていることが分かります。

予防歯科が大事な理由

歯の健康は体の健康に深く関わっているため、健康的に長生きするためには歯を守ることが大切です。歯は一度悪くなってしまったら、完全に元には戻りません。例えば、歯周病は治療によって改善は見込めるものの完治はしないため、口腔内のケアが不十分だと再び悪化してしまいます。

歯の疾患と体の疾患のつながりは深く、歯周病は糖尿病や動脈硬化、認知症などさまざまな疾患に関与しています。高齢者の死亡原因の一つ、誤嚥性肺炎は歯周病菌が肺に混入することで発症する疾患です。健康的に長生きするには、歯の健康寿命を延ばすことが非常に重要です。

当院の予防処置の特徴

虫歯や歯周病の予防には、歯科医院でのプロフェッショナルケアと、自宅でのセルフケアが重要です。ただし、セルフケアを行う際に自己流の歯みがきでは磨き残しが多いため、適切な指導を受けましょう。プロフェッショナルケアとセルフケアについて解説いたします。

歯科医師・歯科衛生士によるプロフェッショナルケア

当院で行うのは、定期的な口腔内の健康チェックと、専用機器を使用したPMTCと呼ばれる歯のクリーニングです。歯科衛生士がプロの目でチェックし、毎日の歯みがきでは落としきれない汚れや、細菌が集まって形成されるバイオフィルムを徹底除去します。クリーニングで歯肉の健康を取り戻し、フッ素塗布で予防効果を高めます。

定期的に口の中を徹底的にチェックし、虫歯の早期発見、早期治療につなげることで歯の健康寿命を保つことが可能です。また、必要に応じて虫歯になりやすい奥歯の溝をプラスチックでふさぐシーラントと呼ばれる予防措置も行っています。

セルフケアの指導とサポート

当院では、患者さま一人一人に合わせて、歯垢を落とすための歯の磨き方を指導しています。歯の健康維持には、毎日の正しい歯みがきが欠かせません。しかし、手のクセや歯の重なりなどによって、必ず磨き残しが発生します。そのため、磨き残しが多い場所や、どのように磨けばよいかを歯科医師や歯科衛生士から指導を受ける必要があります。

定期検診時にしっかりと指導を受ければ、自分にあった適切な歯みがき方法がわかります。また、ブラシや歯みがき粉の選び方、歯間ブラシやタフトブラシの効果的な使い方も身につきます。

予防歯科で歯の健康寿命を延ばそう

予防歯科は、定期検診や日々の正しい歯みがきによって、虫歯や歯周病の発症を防ぐ取り組みです。予防歯科の実践には、まずは口腔内の状態の把握から始めましょう。口腔内の状態を知り、適切な予防処置を続けることが、歯の健康維持につながります。歯の健康寿命を保つためにも、ぜひ当院にご相談ください。

Q1:日本人で歯科検診を受けている人の割合はどのくらいですか?
A1:厚生労働省における令和4年の調査によると、1年間に歯科検診を受けた人の割合は58%と報告されています。80歳で20本の歯を残すことを目標にした「8020運動」が始まった平成元年の定期受診率は6%でした。当時と比較すると状況は改善しつつあるといえるでしょう。
Q2:定期検診の頻度はどのくらいですか?
A2:患者さまの口腔内の状態にもよりますが、バイオフィルムは3か月程度で形成されるため、基本的には3~4か月に1度の検診とクリーニングを推奨しています。
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