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歯周病は何歳が多い?予防法を徹底解説

歯周病は細菌感染による炎症性疾患であり、年齢を問わず発症する可能性があります。しかし、実際には特定の年代でリスクが高まることがわかっています。では、歯周病になりやすい年齢はいつなのでしょうか?

本コラムでは、歯周病が多い年代と効果的な予防法について解説します。歯周病リスクが高まる時期を知り、早めに適切な対処を取れば、健康な歯茎の維持につながります。ぜひご参考にしてください。

歯周病とは?

歯周病とは、歯垢に含まれる細菌に感染することで発症する炎症性疾患です。まずは、歯周病と歯肉炎の違いや症状の特徴、セルフチェックの方法について詳しく確認していきましょう。

歯周病と歯肉炎の違い

歯周病とは、歯肉炎と歯周炎を含めた総称です。歯茎のみに炎症が生じている状態を歯肉炎、炎症が進行し歯を支える骨にまで影響を及ぼした状態を歯周炎と呼びます。

歯肉炎は、歯と歯茎の間にある歯周ポケットに歯周病菌が繁殖することで発症します。歯肉炎を発症すると、歯みがき時に歯茎から出血しやすくなるのが特徴です。

歯周炎まで進行すると、歯茎の後退や歯のぐらつきが生じ、最悪の場合は歯が抜けてしまうリスクも高まります。そのため、歯肉炎の段階で適切な治療を受け、早めに対策を行うことが大切です。

歯周病の症状

歯周病を発症すると、歯茎や歯のまわりの骨が徐々に溶けていきます。虫歯のように強い痛みをともなうケースは少なく、自覚症状がないまま進行することが多い点に注意が必要です。

症状が進行すると、歯茎から膿が出るようになったり、口臭が強くなったりします。重度の進行段階では、歯が自然に抜け落ちてしまったり、抜歯が必要になったりすることもあるため、早期の治療が大切です。

セルフチェックの方法

歯周病は初期段階では自覚症状が少ないため、早期発見にはセルフチェックが重要です。以下のような症状がある場合、歯周病の可能性が考えられます。

  • ・歯肉の色が赤い
  • ・歯肉が腫れぼったい
  • ・歯みがき時に出血がある
  • ・口臭が気になる
  • ・歯がグラグラする
  • ・歯と歯の隙間が広がってきた

上記の症状が当てはまる場合は、早めに歯科検診を受けましょう。

また、症状が当てはまらない場合でも歯周病が進行しているケースがあります。無症状であっても定期的に歯科検診を受け、歯と歯茎の状態をチェックしておくことが大切です。

歯周病は何歳が多い?

歯周病は加齢とともに発症率が高まる傾向があります。令和4年度の調査によると、65~74歳のうち、歯周ポケットがある割合は56.2%とされており、これは全年代のなかで最も高い数値です。

歯周病の発症は老化が直接の原因ではありません。しかし、高齢になるほどリスクが増すのは事実であり、さらに歯周病は全身疾患との関連も指摘されています。

また、歯周病を発症する平均年齢は20代から30代といわれていますが、口腔ケアができていなければ10代でも歯周病になるため、若いうちから注意が必要です。

参照:厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査(表20)

歯周病の予防法

歯周病は適切なケアを行えば予防が可能です。誰でもできる、具体的な歯周病の予防方法について確認していきましょう。

食後に歯みがきする

食後は可能な限り歯みがきを行うことが推奨されます。食べかすや歯垢が口の中に残ると、細菌が繁殖し、歯周病の原因となるためです。

しかし、自分では丁寧に磨いているつもりでも、磨き残しは発生しやすいため、鏡を使って確認しながら磨くことが大切です。また、ヘッドが小さく、毛先が固めの歯ブラシを使用すると、細かい汚れを落としやすくなります。

ただし、職場や学校などで食後の歯みがきが難しい場合は、うがいやマウスウォッシュを活用しましょう。ある程度汚れを除去し、口腔内の細菌繁殖を抑えられます。

デンタルフロスや歯間ブラシを活用する

歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを十分に落とすことが難しく、歯垢の除去率は60%程度といわれています。しかし、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで歯ブラシが届きにくい箇所の汚れを落とせるため、除去率を80%程度まで向上させられます。毎回の歯みがき時に歯間ケアを行うのは手間がかかりますが、最低でも寝る前にはデンタルフロスや歯間ブラシを使用するのが理想です。

禁煙する

タバコに含まれるニコチンは歯茎の血流を悪化させ、免疫力を低下させるため、歯周病の原因となる細菌の繁殖を助長します。

また、喫煙による歯茎の着色によって炎症が分かりにくくなり、歯周病の発見が遅れやすいのもデメリットです。さらに、喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病の進行スピードが速く、重症化しやすい傾向があります。

禁煙が難しい場合でも、まずは減煙から取り組むことが大切です。喫煙本数を減らすだけでも歯周病のリスク軽減につながるため、少しずつ取り組んでいきましょう。

定期的に歯石を取り除く

歯垢が放置されると再石灰化し、歯石となって歯の表面に固着します。歯石は一度固まると歯みがきでは除去できないため、歯科医院でのクリーニングが必要です。歯石が溜まっている自覚がない場合でも、早めに対処することで歯周病予防につながります。

また、歯科医院では歯みがき方法の指導が受けられるため、患者さまのセルフケアの質も向上します。溜まった歯石を取り除くのはもちろん、清潔な口内環境を維持するためにも、歯科医院で定期的に検診を受けましょう。

Q1:歯周病は遺伝しますか?
A1:歯周病そのものは遺伝しませんが、歯周病になりやすい体質は遺伝する可能性があります。遺伝の影響をつけやすいのは、歯石がつきやすい歯並びや、細菌への抵抗力などです。そのため、歯周病に罹患している方が家族にいる場合は、より丁寧な口腔ケアが必要です。
Q2:歯周病は自然に治りますか?
A2:歯周病は自然に治ることはありません。歯周病の原因である歯石は、セルフケアでは除去できないためです。歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶けてしまうため、定期的に歯科医院で検診を受けることが大切です。
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